株式会社イーユーテック
ドイツ OBO OBOベターマン輸入総代理店

SPDの必要性

◇雷保護の規格

 避雷針は200 年以上も前に発明され、各国それぞれの考えに基づき使用されてきましたが、1993 年に国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)においてIEC 標準規格ができ、日本もこの規格を取入れJIS を改定されました。
建物を雷から保護する避雷針に対し、建物内の電気設備をSPD で保護する考えは、ドイツの規格が元になりIEC 標準規格となり、日本も近年JIS へ導入されました。
OBO ベタ−マン社のSPD は、そのドイツで設計、生産されておりIEC(JIS)に準拠しています。さらにCE マーキングや、第三者検査機関であるKEMA などの認証を必要に応じて取得し信頼性の高い製品を製造、販売しており、
日本でも多くお客様で採用いただいています。





◇サージ電流に対し脆弱化が進む電気設備

 多くの電気設備には電子回路が多用され、年々、高性能化しています。
設備としての重要性が高くなる一方、雷サージに対しては従来よりも脆弱化が進んでいると考えられ、従来検討されなかった電気設備に対しても雷対策の必要性が増しています。





◇雷電流の侵入経路

 雷電流は電源線・通信線・接地線などの機器に繋がる全て導体から侵入する可能性があります。



◇ SPDの基本機能(電源用SPDの場合)

 SPDは平常時には商用電流の電気設備への供給には影響しませんが、雷サージ等によりSPD端子間の電位差が大きく成った場合に電流を大地へバイパスし電気設備を保護します。





◇ 等電位ボンディング

異常に電位差が発生したときに金属導電性部分間の電位差を安全なレベルに減少させることにより、人的及び電気設備の保護をします。

対象
 雷保護システム、金属構造体、金属性工作物、導電性部分
電気・通信用設備。

方法
 ボンディング用導体又はSPD で接続して等電位化します。


◇ 大地の電位上昇と接地間SPD

 落雷時には雷電流の大きさと避雷針の接地抵抗に依存し、大地電位が上昇します。
多くの電気設備の筐体接地線で大地に接続(D 種接地等)されており、大地電位の上昇時にはで感電事故や設備の絶縁破壊リスクが発生します。
接地間SPD は、大地電位が上昇したときに接地極間を等電位しリスクを低減します。




等電位化のイメージ:避雷針への落雷時は、接地極間で電位差が発生し、設備が絶縁破壊するリスクが発生します。
          接地極間にSPDが設置されている場合には、極間の電位差が大きく成った時にSPDが極間で
          電流をバイパスし等電位化を図ります。


◇ 内部雷保護システム例

建物外部からの雷サージの侵入を考え、侵入が想定される雷サージの大きさにより、電気設備が設置されている領域を雷保護領域として区分します。落雷の影響が直接及ぶ建物外部を「雷保護領域 0」として、建物内部を外部に近い方から「雷保護領域 1、2、3・・・」と区分し、それぞれの領域に侵入する雷サージに適応するSPDを設置し、連続する領域に侵入する雷サージを低減します。一般に建物外部に近い保護領域では大きな雷サージを処理できる性能が求められ、設備に近い保護領域では電圧防護レベルが重要な性能になってきます。
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SPD関連規格と運用


◇公称電圧によるSPDの選定
SPDの最大連続使用電圧が適切でない場合には、SPDが故障したり十分な機器保護が出来ない場合があります。

・SPDの最大連続使用電圧が系統の公称電圧より低い場合:
 → バリスタ素子を使用しているSPD場合、SPDに常時バイパス電流が流れて短時間で劣化し故障します。

・SPDの最大連続使用電圧が系統の公称電圧より必要以上に高い場合:
 → 一般に最大連続使用電圧が高いSPDの電圧防護レベルの電圧値が高くなる傾向があり、そのため設備に対し   ての防護レベルが低下します。
SPDの最大連続使用電圧は公称電圧やSPDの構成によって異なりますので、JISや運用基準などを参照して故障の懸念がなく、設備に対する雷保護効果が優れたSPDを選定してください。

JIS C 5381-12付属書 
バリスタのみで構成されるSPDは、経年劣化等によりバリスタに常にリーク電流が流れる様になると回路は漏電状態となり、接地線に触れると感電の危険性がある為、SPDの遮断器は漏電遮断器を設置する必要があります。JIS C 5381−12の附属書ではSPDの一次側に漏電遮断器を設置する図を記載しています。
対地間にギャップ素子を接続するこの構成の場合バリスタにリーク電流が流れるようになっても、対地間に位置するギャップ式SPDがリーク電流を阻止する為、接地線に触れても感電しません。
また漏電遮断器はSPDの二次側でも問題ありません。JIS C 5381-12では漏電遮断器がSPDの一次側、二次側両方の図を記載しています


電気供給系統の形態によるSPDの必要最小Uc (JIS C 60364-5-53)
SPDの最大連続使用電圧(Uc)は、次の表に示す値以上でなければ、ならないと記述されています。
SPDを接続する線間 配電網の系統の形態
TT TN-C TN-S IT(中性線有) IT(中性線無)
線導体-中性線 1.1Uo NA 1.1Uo 1.1Uo NA
各線導体-保護導体 1.1Uo NA 1.1Uo √3Uo (*1) 線間電圧 (*1)
中性線-保護導体 Uo (*1) NA Uo (*1) Uo (*1) NA
各線導体-PEN導体 NA 1.1Uo NA NA NA
N.A.:適用不可
備考 1.Uoは低圧系統の線-中性線間電圧
   2.この表は、JIS C5381-12 表4に基づく
(*1) これらの値は、最悪の故障状態に関するものである。そのため10%の誤差は考慮していない

1文字目 2文字目
電源と大地の関係を示す 需要家の機器と大地との関係を示す
T 電源が系統接地されている T 機器が電源の系統接地とは別に直接接地されている
I 充電部が大地に対し絶縁されている、または高インピ−ダンスで接続されている N 機器が電源の系統接地に接続されている

建築設備設計基準 平成30年版では、最大連続使用電圧は右表のように示されています。
電気方式 最大連続使用電圧
単相2線式 100V, 単相2線式 200V
単相3線式 100/200V, 三相3線式 200V
220V 以上
三相4線式 400V 440V 以上

公共建築工事標準仕様書 平成31年版では、「クラスTSPDの性能は、特記による。」と記載されており、クラスUSPDは特記がなければ、電気方式とSPDの最大連続使用電圧の区分は建築設備設計基準 平成30年版と同じです。
OBO社のSPDの代表的な構成は、相間にバリスタ、対地間にギャップ素子が接続されており、相間は2個のモジュールが接続され、SPDモジュールの最大連続使用電圧x2となります。OBO社の標準的な構成のSPDでは、単相3線 100V/200Vには最大連続使用電圧150Vの製品を設置する事ができます。相間の最大連続使用電圧は300V=150Vx2であり、何らかの事情で中性相が欠相しSPDに200Vが掛かっても十分耐える事が出来ます。
三相4線(Y結線)400Vの場合に於いても対地間電圧は10%の電圧変動を見込んでも255V程度であり、最大連続使用電圧280Vの製品であれば、相間は560V=280Vx2まで耐える事が出来ます。



◇一時的過電圧(TOV)とSPD
 一時的過電圧(TOV)は、高圧系統及び低圧系統での短絡・地絡事故や突然の負荷の遮断等により、短時間継続する高電圧です。また落雷時には大地電位が上昇し、上記の事故と同様に高電圧が発生する可能性があります。
このような状態になった時、SPDが故障し、発火や感電などの二次被害を防ぐような選定をする必要があります。
JISでは電源用SPDのTOVに関してSPDの試験方法を規定しています。

TOVについてはJIS C 5381-11に、SPDの試験方法が示されています。

一次的過電圧(TOV)における性能試験

低圧システム側の故障による一時的過電圧(TOV)
配電設備の電圧に依存して規定された電圧を120分間印加して、SPDの状態を確認します。

高(中)圧のシステム側の故障による一時的過電圧(TOV)
配電設備の電圧に依存して規定された電圧を、それぞれ決められた時間印加して、SPDの状態を確認します。

いずれの試験においても、TOV故障モード或いはTOVに耐えるモードを選択する事が出来、型式試験における所定の共通合格基準を満たしている事を確認します。

    JIS C 5381-11  附属書B TOV値
適用 TOVの試験パラメ−タ(試験電圧)    
SPDを接続するシステム 低圧システムので事故
( t=120mim)
高圧システムので事故
( 時間規定なし)
高圧システムので事故
(t=2sec)
高圧システムので事故
( t=1sec))
  配電系統の中性相欠相  要求耐力又は許容可能な安全側故障  
TT系統 L−PE 間 √3Uref 150+Uref  300+Uref 600+Uref 
L−N 間 √3Uref −  − 
N−PE 間 150
 300
 600
L−L 間 −   −
Uref: 電力系統の最大電圧変動及び試験の為の基準電圧(JIS C 5381-11 附属書 A参照 )

SPDの構成の相違によるTOVの雷電流の経路
落雷時には大地電位が上昇し、一時的過電圧(TOV)状態になり、SPDに高電圧が加わります。バリスタ素子を対地間に接続する構成のSPDでは、雷電流はバリスタに比較的容易に流れ、電位の低い接地極へ流れていきます。一方対地間にギャップ素子を接続する構成のSPDは、ギャップ素子が動作する電圧まで、大地電位が上昇しなければ雷電流は流れる事がなく、バリスタの劣化を抑える事が出来ます。



◇SPDの接続線サイズ
 SPDの接続線サイズはJISによりまちまちで統一されていません。
過度に小さいサイズの電線で接続した場合、雷電流バイパス時に被覆の焼損や発熱による絶縁劣化が発生します。
大きなサイズの電線は許容電流量が大きく、細い電線に比べ発熱量が小さくなるため十分な太さサイズの電線で接続することが望ましいと考えます。

JIS Z 9290-3(雷保護−第3部:建築物等への物的損傷及び人命の危険)表8、表9より
ボンディング用導体の最小寸法
保護レベル 材料 ボンディング用バ−相互又は接地極システムと接続する導体 金属制作物をボンディング用バ−に接続する導体
保護レベルT〜W 14mm2 5mm2
アルミニウム 22mm2 8mm2
50mm2 14mm2

JIS C 60364-5-53 (電気設備の選定及び施工−断路、開閉及び制御)

「設備の源点又はその近くにあるSPDの接地線は、断面積が4 mm2以上の銅線又はこれと同等のものでなければならない」、「雷保護システムがある場合は IEC 61643-1のクラスT試験に従って試験したSPDに対して、断面積16mm2以上の銅線又はこれと同等のものが必要である」と記述されています。


JIS Z 9290-4 (雷保護-第4部:建築物等内の電気及び電子システム) 表1より
ボンディング部品 材料 断面積(mm2)
ボンディング用バ−(銅又はめっき銅) 銅、鉄 50
ボンディング用バ−から接地システム
又はボンディング用バーへの接続導体
14
アルミニウム 22
50
内部の金属設備から
ボンディング用バーへの接続導体
5.5
アルミニウム 8
14
SPDの接続導体  クラスT試験 銅  14
クラスU試験 5.5
クラスV試験 1
 その他のSPD(通信用)  1
注記 他の材料を使用する場合は、抵抗が等価となる断面積が望ましい

公共建築工事標準仕様書 平成31年版の仕様                   
「低圧用SPDの接地線はクラスTは14 mm2以上、クラスUは5.5 mm2以上とし、防護対象設備と同一の接地に接続する」と記述されています。

推奨接続線サイズ
SPDの接続する電線サイズは、JISの規格番号によりまちまちで統一されていません。これは雷保護の機器としてSPDを用いる考え方が比較的新しく、従来からあった避雷針への落雷を想定した等電位を行う接続線のサイズと異なる為だと思われますが、今後統一されていくものと考えます。

電源用SPD: クラスT:14〜22 mm2
       クラスU:5.5〜22mm2

接地間用 SPD:主接地端子盤(雷電流の大部分を流す接地端子): 14〜22 mm2
        各階接地端子盤(雷電流のごく一部を流す接地端子):8〜22 mm2



◇SPDの接続線の配線長
 JIS C 5381-12「最適な過電圧の防護を達成するために、SPDの接続導体はできるだけ短くする。長いリ−ド線はSPDによる防護効果を減少させる」
 JIS C 60364-5-53「接続導体の長さは過電圧保護の効果を減少するため、接続導体は0.5m以下が望ましい」
と記述されています。


雷電流通過時に配線長(配線インピ−ダンス)による電圧が発生し、雷電流起因の高電圧がSPDだけでは抑制しきれず電気設備へ流れ込む恐れがあります。JISに示されている様にSPDの接続線は、配線長に依存する電圧を抑えるためにできる限り短く施工することが望まれますが、分電・動力盤では設計上、配線長を短くするには限界があり、機器へ高電圧が印加されるリスクを軽減する下記の方法もご検討下さい。

1.優れた電圧防護レベルのSPDを選択し、総合的に設備の保護効果を高めるSPDを選定する。
2.JIS C 5381-12, JIS C 60364-5-53で図示されている様にSPDの端子で入出力線をつなぐ。
3.接地端子をSPD近傍まで伸ばして配線長を短くし、配線インピ−ダンスによる影響を小さくする。


襲雷時に設備に加わる電圧 = SPDの電圧防護レベル+配線インピ−ダンスによる電圧

となります。このうちSPDの電圧防護レベルはカタログに示されており知ることができます。
配線インピ−ダンスによる電圧は、配線長(配線インピーダンス)と雷電流のピーク値と波形に依存しますが、配線長が短いほど配線インピーダンスによる電圧を小さくすることが出来、機器に加わる電圧を低くすることが出来ます。またSPDへの配線方法により低減することが出来ます(JIS C 5381-12, JIS C 60364-5-53で図が示されています。)

電圧防護レベル Up
測定制限電圧UmはJIS試験において試験電流を印加したときに測定した最大値で、この値を基にして製造メーカーがSPDの電圧防護レベルの性能を決めます。Upが製品の公称値、Umは試験したSPDの測定値という関係にあり、 Up ≧ Um となります。動作開始電圧という言葉は、SPD関連のJISでは定義されていない用語です。また機器を保護する電圧ではありません。代表的な電圧制限型素子であるバリスタ(酸化亜鉛)は定電圧においても数十μA単位の漏れ電流が流れており、特定の電圧から突然電流が流れ始める事はありません。バリスタ(酸化亜鉛)では電圧、電流特性が変わる1mAが流れる電圧を公称バリスタ電圧と呼んでいます。


◇SPD分離器
 SPDの1次側に設ける分離器は、SPDや電気回路の保守点検時に回路を遮断する為(点検用)、SPD短絡時に電気回路を守る(電気回路保護用)、SPDに仕様以上の雷電流が侵入することによりSPDの損傷を防ぐ(SPD保護用)ことを目的としています。
雷電流を確実にバイパスさせる為に定格電流値が小さすぎる遮断器や接点の浮き上がりなどの不要動作等が発生しない分離器を選定する必要があります。

JIS C 60364-5-53 「電気設備の選定および施工-断路、開閉および制御」
「SPDの短絡保護は、過電流保護装置F2(附属書A〜Dの図参照)で行う 。その過電流保護装置は、製造者のSPD説明書に示す過電流保護装置に対する最大推奨定格に従って選定する」「過電流保護装置F1(それは設備の一部である。附属書(A〜Dの図参照)の定格が、過電流保護装置F2の最大推奨定格以下である場合は、F2は省略することが出来る」と記述しています。

F1 > F2 = BF 値
F1 ≦ BF値の場合 F2は省略することができます
最大推奨定格値=BF値(バックアップヒュ−ズ値)

JIS C 5381-12 附属書 図K-2で示されるバリスタのみで構成されるSPDは、F1を漏電ブレ−カとする必要があります。
図K-3で示される接地間にギャップを接続する構成のSPDは、F1は漏電遮断器居合の回路遮断器(MCCB)を選択できます。

(図K-2・K-3は「公称電圧に基づくSPDの選定」をご参照ください。)



左図では雷電流がSPD分離器を通過しSPDを通じて大地へ放流し電気設備を保護することができます。
一方右図ではSPD分離器が雷電流により不要動作し回路を遮断している為、雷電流を大地へバイパスできません。

SPD分離器は「SPDを含めた電気設備の保護する機器」として考える必要があります。
SPDの視点からは雷電流を正しくバイパス出来ること、電気設備の視点からは感電や漏電の危険性をなくすこと、SPD短絡時に電気回路を確実に遮断出来ることが必要です。
これらからSPD分離器は定格電流、短絡遮断容量のほか、雷電流により接点の浮き上がりや不要動作が起きることなく確実に雷電流をバイパス出来る製品を選定することが必要です。定格電流が小さすぎると雷電流の侵入時にトリップする可能性があり、また大きすぎると性能以上の雷電流が侵入した場合、SPDが故障してしまう恐れがあります。
SPD分離器として漏電遮断器を選定する場合は、上記の注意点の他、SPDが雷電流を大地へ流しているときに、漏電と誤判定しSPDへの回路を遮断してしまう可能性があります。
新しい技術でこの問題に対応でき切る漏電遮断器もあるようなので、遮断器メーカーに確認して選定することをお薦めします。受電トランスの近傍にSPDを設置する場合には、定格電流値の他、トランスの容量、電線太さ、トランスからの距離により算出される短絡遮断容量を持つSPD分離器を選定する事が必要です。

SPD分離器にヒューズを用いる場合には、配電線の接地相が常に導通状態をなるようヒューズを接続しない事を
推奨します。接地相のラインを直接SPDに接続するか、ヒューズホルダーを設置する場合にはダミーヒューズを
お使い下さい。



◇電源用SPDのJIS試験
JISで定めた試験を行い仕様を満たした電源用SPDは、クラスT・クラスU・クラスVと表記することができます。
JISでは雷電流の処理性能だけでなく電気設備に設置する設備として安心して使用できる製品とする為、雷電流の処理性能や感電保護など電気的な性能の他、耐熱性、ネジ端子などの機械的な性能なども含む多岐に渡る内容で定められています。
JIS は試験方法を決めているだけであり、同じクラスのSPDにおいても異なった性能を持つ製品が存在します。
またクラスTとクラスUなど複数のクラスの試験を行った製品にはクラスT・Uと併記されることがあります。
OBOの電源用SPDであるMC,MCD・V・VFの各シリーズは、JISの仕様に基づく試験で性能を確認しており、安心して使用できます。

■雷電流の処理性能
クラスTSPDは直撃雷電流を処理し、クラスUSPDは繰返し侵入する誘導雷を処理します。
そのためJISでは、単発の大きな直撃雷電流を想定した波形(10/350μsec)や頻度の高い誘導雷を想定した波形(8/20μsec)を使い、性能を確認する試験を行います。
クラス VSPDは電圧、電流のコンビネーション波形を印加し試験を行います。
ここではクラスTとクラスUSPDの雷電流の処理性能の試験方法について説明します。

クラスT・Uの動作責務試験(誘導雷が繰り返し侵入する事を想定した性能試験)
この試験に合格した製品は、試験を個なった電流値に応じて「公称放電電流 In=〇〇kA」 として表記することが出来ます。
商用電圧を印加しながら製品仕様の誘導雷を模した電流インパルス(8/20μsec)を約1分間隔で5回印加し、30分間を放置します。これを3回(合計15回の電流インパルスを印加)繰返し、短絡や物理的な障害を受けていないことを確認します。クラスTSPDはIimpの波高値を持つ8/20μsecの電流インパルスを、クラスUSPDは製品仕様とする電流インパルスを印加します。


クラスTの追加の動作責務試験(単発の大きな雷電流を想定した性能試験)
この試験に合格した製品は印加した電流パルスの大きさに応じて「インパルス電流 Iimp=●●kA」と表記することが出来ます。
商用電圧を印加した状態で、交流正弦波のピークで極性の一致した電流インパルスImpを0.1XImpを商用電流に重畳し、印加後、商用電圧を加えたまま30分間放置し周囲温度まで冷却したことを確認し、さらに同じ手順で 0.25X Imp・0.5X Imp・0.75X Imp・1.0X Impと印加し短絡や物理的な障害がないこと、製品の性能が保たれていることを確認します。

公称放電電流:In, インパルス電流:Iimp について
Imax・Iimpは単発の大きな雷電流に対する性能を示し、Inは繰返し処理できる雷電流の性能で耐久性を示す値とも考えられます。想定される最大雷電流に対する能力は、Iimp の性能に注目し、落雷が多い地域では、誘導雷が繰り返し侵入する事が懸念されるため、クラスに関わらずInの性能も考慮して選定することをお薦めします。

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特殊な回路の接続方法


◇ 非常灯(蓄電池DC電源回路)

 DC電源のみで点灯する回路の電気設備を保護します。
 最大連続使用電圧(Uc)は、電源のDC電圧をもとに選定してください。





◇ 非常灯(商用・蓄電池切替え回路)

 ACとDC電源の両方に対応できる最大連続使用電圧(Uc)のSPDを選定します。
 最大連続使用電圧(Uc)は、AC電源の実効値を判断材料として選定してください。



外部からの配線はAC電源のみで停電時は電灯設備内部にあるバッテリ−で点灯させる設備は、AC電源回路にSPDを接続します。



◇ 非常用動力(商用・発電機切替え回路)
 商用電源と発電機電源の両方に対応できるSPDを選定します。
それぞれの電源に接地相があるか確認します。片方の系統に接地相がない場合は、接地相がない配電系に用いる構成のSPDを選定してください。


商用・発電機電源ともに一相接地された配電で設備に供給される場合には、接地相がある構成のSPDを選択します。
接地相の有無は電気図面等で確認してください。



◇ 動力(インバーター回路)
インバ−タ−回路は、スイッチング動作のたびに高調波が発生し、バリスタの劣化が進行します。
通常のAC電源に用いるSPDの選定を基にして、高調波による影響を考慮して余裕ある最大連続使用電圧のSPDを選定してください。

端子間に電圧が加わるとバリスタは動作して電気を流し始めます。バリスタは素子に電気が流れると徐々に劣化が
進行します。高調波数成分がある場合には、通常の場合よりもバリスタを通過する漏れ電流が多く劣化が進みます。
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