OBOベターマン輸入総代理店
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■設置環境 ビルの屋上に設置された大規模な太陽光発電システムの多くは避雷針の保護下にあり、またメガソーラー設備は一般に避雷針を設置するほどの高さの建築物ではなく、直撃雷を受ける可能性は低いと考えられますが、設備の大半は屋外に設置され強い誘導雷に対処できる性能が必要と考えます。落雷等により大地電位が上昇した場合、接地電位の相違により太陽光パネル、パワーコンディショナーが絶縁破壊する可能性があります。 接続箱、集電箱やパワ-コンディショナー等を個別接地とした設備では、SPDを各設備に設置する事により、大地電位が上昇した場合にSPDを通じ、雷電流を電位の低い接地極へ流す事により絶縁破壊が起きる可能性を低減することが出来ます。 ■ 太陽光発電関連のJIS(抜粋:雷インパルス関連事項) JIS C 8918 : 2013 結晶系太陽電池モジュール : 7.1 電気的性能 b)絶縁 JIS C 8939 : 2013 薄膜太陽電池モジュール : 7.1 電気的性能 b)絶縁 モジュールに印加する衝撃電圧は共にJIS C 61730-2の10.12(インパルス電圧試験 MST-14)に基づくとしております。この試験はPVモジュールの絶縁物が過電圧に耐える能力を評価します。 PVモジュール全体を金属箔で覆い、インパルス電圧発生器の負極端子に、PVモジュールの出力端子は短絡させ、インパルス電圧発生器の正極端子に接続し、1.2/50μsecの電圧波形を3回連続して印加します。極性を変えて同じ電圧インパルスを3回印加します。 印加電圧はパネルの定格電圧により異なりますが、定格電圧 DC 600Vのパネルの場合、PVモジュールが基礎絶縁対応の場合6.0kV、強化絶縁が要求される場合8.0kVを印加します。 JIS C 8980 :2020 小出力太陽光発電用パワ-コンディショナー:13.4 雷インパルス耐電圧試験 「パワ-コンディショナの出力端子と接地端子との間に、波頭長1.2μs、波尾長50μs及び波高値 5.0kVとなる電圧を最小1分間隔で、正極性及び負極性それぞれ3回ずつ主回路一括対地間に印加する。」としています。 JIS C 8981 :2006 住宅用太陽光発電システム電気系安全設計標準: 6.1 中継端子箱(接続箱の設置) 「中継端子箱(接続箱)内には、必要に応じて逆流防止ダイオード、サージ吸収素子、太陽電池からの電流を開閉する開閉器などを施設する。」としています。 JIS C 0364-7-712:2008 建築電気設備-第7-712部 特殊設備又は特殊場所に関する要求-太陽光発電 「ケーブルの連続許容電流が、太陽光発電装置のIscsrcの1.25倍以上である場合は、太陽電池主幹ケーブルに対して過付加保護を省略してもよい。」としています。 ■ 太陽光発電設備用SPDの規格と仕様 2020年2月、太陽光発電設備用SPDの日本産業規格( JIS C5381-31)が公示されました。これはAC電源及び通信用SPDの規格の続編となるもので、太陽光発電設備の直流側に設置するSPDに限定した規格で、具体的な対象設備として太陽電池アレイ及びインバーターが示されています。またこの規格の対象は1ポートSPDのみに限定しており、入力端子と出力端子間に直列のインピーダンスを持つ2ポートSPDには含まれていません。 対象のSPDをAC電源用SPDと同様に8/20μsecの 電流波形で試験するクラスⅡ、10/350μsecの電流波形で試験するクラスⅠ、コンビネーション波形で試験するクラスⅢとクラス分類しており、試験内容が詳細な点で異なる箇所もありますが、主な試験項目としてはAC電源用SPDの規格(JIS C 5381-11)とほぼ同じで、・動作責務試験、・クラスⅠの追加の責務試験、・SPDの故障モード試験があります。 ・動作責務試験: クラスⅡSPDは8/20μsecの電流波形のインパルスを1分間隔で5回、30~35分間待機し、更に2回繰り返し 合計15回の電流インパルスを印加します。クラスⅠSDPはIimpの波高値を持つ8/20μsecの電流波形を用い クラスⅡSPDと同様に合計15回の電流インパルスを印加します。 ・クラスⅠの追加の責務試験: AC電源用SPDと同様に、0.1xIimp、0.25xIimp、0.5xIimp、0.75xIimp、1.0xIimpと波高値を変え 合計5回の電流インパルスを印加します。 ・SPDの故障モード試験: 対象のSPDの故障状態を「開回路故障モード」若しくは「短絡故障モード」のどちらかを指定し、それぞれ のモードで示された時間内に指定されたモードになり、SPDが外的な損傷なく表示が正しく機能し、周辺機 器へも損傷を与えない事が必要となります。この試験を通じて確認されるIscpv(定格短絡電流)は、SPDが 損傷当で短絡状態になった時に、SPD自体で回路を遮断できる性能で重要な項目です。 ■ 公共建築工事標準仕様書(平成31年版) 接続箱に設置するSPDの仕様が示されています。
SPDのその他の機能として「その表面に正常な状態であるか故障しているか判別できる表示を行うものとする。」とし状態表示を持つ事が必要とされ、また接続箱、及び集電箱には「直流入力回路(ストリング)ごとに、逆流防止ダイオード等を設ける。」としています。 ■ 建築設備設計基準(平成30年版) 太陽光発電設備用SPDの仕様は示されておりません。
一体型のPVシリーズはDC600V用ではクラスⅡ、DC1,000V用ではクラスⅠ、DC1,500V用ではクラスⅠ、Ⅱを取り揃えています。 ・プラグインタイプと一体型の2機種 ・直撃雷対応のクラスⅠと誘導雷対応のクラスⅡSPD ・パネル電圧600V, 1,000V, 1,500Vに対応 ・バリスタ素子のY字接続の構成 ・状態表示機能付き ・DINレール取り付け対応 ・警報接点出力機能(オプション) Y字接続の構成 警報接点:プラグインタイプ 一体型 プラグインタイプ(クラスⅠとクラスⅡ) プラグインタイプ(警報接点付き) 一体型 一体型(警報接点付き) プラグインタイプ用モジュール
■太陽光発電設備とSPDの設置(避雷針が設置されていない設備の場合、JIS C 5381-32を参考にして作図) (JIS C 5381-32はインバーター、太陽光発電パネル架台や配線への直撃雷を考慮していません。) 避雷針が設置されていない太陽光発電設備に設置するSPDの基本図として、上図の構成ががJIS C 5381-32に示されています。 パワーコンディショナーのDC側からの侵入を防ぐⒷ、主分電盤内のⒹは全ての場合で必要とされており、 ⒸとⒶは条件により省くことが可能とされています。 Ⓒはパワーコンディショナーとの距離が10m以下であり且つ、ACラインが接地線と共に配線してあるやパワーコンディショナー自体が主分電盤内に設置されている様な時に、Ⓐは同じくパワーコンディショナーとの距離が10m以下であり、かつⒷのSPDの電圧防護レベルが太陽光パネルの定格インパルス電圧の0.8倍以下でかつ保護導体が直流配線と近接している場合やⒷのSPDの電圧防護レベルが太陽光パネルの定格インパルス電圧の0.5倍以下、 且つDCラインが接地線と共に配線してある場合には設置を省く事が出来るとしています。 この様な条件に見合う設備は、太陽光発電パネル、パワーコンディショナーと主分電盤が近接してる比較的小規模なものとなり、多くの設備では図中のⒶ、ⒸのSPDを省くことはできないと思われます。 ■直流側に設置するSPDの性能 太陽光発電設備の設置条件により、必要とされるSPDの性能が異なりますが、JIS C 5381-32では目安となる値が示されており、まとめたものを表にしました。 注:(1)避雷針が設置されているか否か、また避雷針からの引き下げ導線からの離隔距離が保たれている環境か また設備間が近接して設置されているかなどの条件によりSPDクラスが変わります。 (2)雷電流の大きさを算出する為の十分な情報が入手できない場合。 (3)アレイの最大出力電圧とモジュールの絶縁要求により異なります。表ではモジュールの適用絶縁B、 基礎絶縁と適用絶縁A、強化絶縁の場合の値を示しています。 この他にSPDのIscpv(定格短絡電流値)も考慮する必要があります。SPDが過電流等により短絡状態になった時に SPD自体で遮断できる電流値です。直流SPDが接続箱に設置されている場合、太陽光発電アレイの電流値は接続箱に流れ込み、さらに集電箱或いはインバーターに流れていきます。太陽費回アレイの発電電流はの温度などの気象条件により大きく変動し、発電する電流値が小さい場合には接続箱等に設置されている回路遮断器では遮断できません。この場合にはSPD自体で遮断できる性能を確認する必要があります。アレイの標準条件での短絡電流値をIsc stcとすると、Isc max=k Isc stc (kの最小値 1.25)とJIS C 5381-32では示されています。集電箱やインバーターでは数多くのアレイから発電電流が流れ込んでくる為、Isc maxの値は接続箱の物より大きな値と成ります。 接続箱、集電箱やインバータなどSPDを設置する場所によりIsc maxが変わり、それぞれの場所に必要とされるSPDのIscpv(定格短絡電流値)も異なります。 |
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